Our World in Data 日本語解説

妊娠・出産で命を落とすリスクは国によって大きく異なる――最も高い国では25人に1人

公開日 2026-06-23

要点まとめ

  • 妊娠・出産による死亡の生涯リスクは国ごとに大きな差がある
  • チャド、中央アフリカ共和国、ナイジェリアでは生涯リスクが約4%
  • サブサハラ・アフリカの多くの国で1%を超える高いリスクが見られる
  • ヨーロッパ諸国では生涯リスクは0.1%未満
  • 妊産婦死亡率の高さと出生数の多さがリスクを押し上げている

この記事でわかること

  • 妊娠・出産に伴う死亡リスクが国によってどれほど違うのか
  • リスクの差を生み出している要因
  • 現在進行している改善の動き
  • 妊産婦死亡率を見る際に出生数も重要である理由

本文

1. 結論

妊娠や出産に関連して死亡する生涯リスクは、国によって極めて大きな差がある。

2023年時点の推計では、チャド、中央アフリカ共和国、ナイジェリアで15歳の少女が将来妊娠関連の原因で死亡する確率は約4%に達する。一方で、ヨーロッパ全体ではそのリスクは0.1%未満である。つまり、最もリスクが高い国々と低い国々では数十倍以上の開きがある。 oai_citation:0‡Our World in Data

2. 背景と問題

国連や世界銀行の研究者は、各国の出生データと死亡データを統計モデルに組み合わせることで、「15歳の少女が将来妊娠関連の原因で死亡する確率」を推計した。 oai_citation:1‡Our World in Data

この指標は単に出産1回あたりの危険性を見るのではなく、女性が生涯に経験する可能性のある複数回の妊娠も考慮している。

そのため、妊産婦死亡の実態をより包括的に理解できる指標となっている。 oai_citation:2‡Our World in Data

3. データからわかること

グラフによると、最も高いリスクが確認されたのは中央アフリカ共和国で、生涯リスクは約4%だった。チャドやナイジェリアも同水準にある。これは「約25人に1人の少女が将来、妊娠関連の原因で死亡する」という深刻な状況を意味する。 oai_citation:3‡Our World in Data

また、サブサハラ・アフリカの多くの国では生涯リスクが1%を超えている。 oai_citation:4‡Our World in Data

一方で、多くの地域ではリスクは大幅に低く、ヨーロッパ諸国では0.1%未満となっている。 oai_citation:5‡Our World in Data

グラフ全体を見ると、高リスク国の多くがアフリカに集中しており、地域間の格差が非常に大きいことがわかる。 oai_citation:6‡Our World in Data

4. なぜそうなるのか

記事は、高リスク国で生涯リスクが高くなる理由として、2つの要因が重なっていると説明している。

1つ目は、妊娠1回あたりの妊産婦死亡率が世界でも特に高いこと。
2つ目は、女性1人あたりの平均出生数が多いことだ。 oai_citation:7‡Our World in Data

つまり、妊娠1回ごとの危険性が高いだけでなく、生涯に5回から6回程度の妊娠を経験するため、その危険が何度も積み重なる。結果として生涯リスクが大きく上昇している。 oai_citation:8‡Our World in Data

ただし記事は、こうした状況が固定されたものではないとも指摘する。

高リスク国では妊産婦死亡率も出生率も低下傾向にあり、両方の改善が続けば生涯リスクは大きく下がる可能性がある。今回の推計は「現在の死亡率と出生率が将来も変わらない」と仮定して算出されたものである。 oai_citation:9‡Our World in Data

5. 日本人への示唆

このデータは、妊娠・出産の安全性を考える際に「出産時の死亡率」だけでは不十分であることを示している。

記事が示すように、生涯リスクは妊娠1回あたりの危険性と、生涯で何回妊娠するかの両方によって決まる。高い妊産婦死亡率と高い出生数が組み合わさることで、女性が生涯に負うリスクは大きくなる。 oai_citation:10‡Our World in Data

また、現在リスクが高い国々でも妊産婦死亡率と出生率は低下しており、改善の余地が存在することもデータから読み取れる。 oai_citation:11‡Our World in Data

まとめ

  • 妊娠・出産による死亡の生涯リスクは国によって大きく異なる
  • チャド、中央アフリカ共和国、ナイジェリアでは約4%で、25人に1人に相当する
  • サブサハラ・アフリカの多くの国では1%以上の高いリスクが見られる
  • ヨーロッパでは0.1%未満と大幅に低い
  • リスクの差は「妊産婦死亡率」と「出生数」の組み合わせによって生じている
  • 両指標は低下傾向にあり、将来的なリスク改善の可能性が示されている

元記事 https://ourworldindata.org/data-insights/a-womans-risk-of-dying-in-pregnancy-or-childbirth-varies-hugely-by-country