出生率は国ごとの違いが小さくなっている――30年で「大きく異なっていた国々」が似た水準へ収束した
要点まとめ
- 1993年には国ごとの差が大きかった出生率は、2023年には多くの国で1.6~1.7人前後に近づいた。
- イランやカタールでは約4人から1.7人へと大幅に低下した。
- マレーシアやコロンビアなどアジア・南米でも急速な低下が見られる。
- 一方でチリやタイでは2023年時点で1.2人まで低下し、収束だけでは説明できない違いも存在する。
この記事でわかること
- 世界の出生率がこの30年間でどのように変化したのか
- 国ごとの差が縮小した理由をデータから理解できる
- 収束が進む一方で例外となる国があることを把握できる
本文
1. 結論
この30年間で、多くの国の出生率は大きく低下し、以前は大きく異なっていた国同士でも、2023年には1.6~1.7人前後という近い水準へ収束している。
ただし、この傾向がすべての国に当てはまるわけではない。チリやタイのように、さらに低い水準まで下がった国もあり、「収束」は世界全体の傾向である一方、その先の状況には違いが残っている。
2. 背景と問題
Our World in Dataでは、1993年と2023年の合計特殊出生率(女性1人あたりの出生数)を比較し、この30年間で各国がどのように変化したかを示している。
筆者の出身国であるイギリスでは、1993年の出生率は1.8人、2023年は1.6人であり、この期間の変化は比較的小さい。
しかし、世界にはこの間に出生率が急速に低下し、現在ではイギリスとほぼ同じ水準になった国が数多く存在する。
3. データからわかること
グラフでは、1993年と2023年の出生率を国ごとに比較している。
読み取れる主な特徴は次のとおりである。
- イギリスは1993年の1.8人から2023年には1.6人へと小幅な低下にとどまった。
- カタールとイランは1993年には約4人だった出生率が、2023年には1.7人まで低下した。
- マレーシアやコロンビアでも大幅な低下が見られ、現在はイギリスと近い水準になっている。
- 30年前には国ごとの出生率の開きが大きかったが、現在は多くの国が1.6~1.7人前後へ集まっている。
一方で、すべての国がこの範囲に収まっているわけではない。
チリとタイでは2023年の出生率が1.2人となっており、収束した国々よりもさらに低い水準まで低下している。
4. なぜそうなるのか
記事では、アジアや南アメリカで出生率が急速に低下したことを「歴史的に多くの国が経験した人口転換よりも速い人口転換」と説明している。
つまり、出生率が高かった国々ほど、この30年間で急速に低下し、その結果として以前は大きかった国同士の差が縮小した。
そのため、1993年には大きく異なっていた国々が、2023年にはほぼ同じ水準へ近づくという「収束」が起きている。
ただし、この収束が最終的な到達点を意味するわけではない。
チリやタイではすでに1.2人となっており、記事では今後さらに低下している可能性にも触れている。
5. 日本人への示唆
今回のデータから分かるのは、出生率の低下は一部の国だけの現象ではなく、この30年間で多くの国に共通して見られた変化だということである。
また、以前は大きく異なっていた国々でも、現在は似た水準になっている一方で、さらに低い出生率へ進んでいる国も存在する。
つまり、世界全体では「国ごとの差が縮小する流れ」と、「その後の低下幅には違いがある」という二つの特徴を同時に読み取ることができる。
まとめ
- 1993年には国ごとの差が大きかった出生率は、2023年には多くの国で1.6~1.7人前後へ収束している。
- イランやカタールでは約4人から1.7人へ大幅に低下した。
- マレーシアやコロンビアでも急速な人口転換が確認できる。
- 一方でチリやタイでは1.2人まで低下しており、収束だけでは説明できない違いも残っている。
- 世界の出生率は共通する方向へ近づいているが、その先の水準には国ごとの差が見られる。